毎年困る花粉症

花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の代表的な症状は
鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの3大症状に加え、
目のかゆみなどがありますが、ここでは鼻粘膜における
花粉症発症の原因とメカニズムについてご紹介します。

花粉症とは、体内に花粉(アレルゲン)が入ってきたとき、
それを排除しようとする「免疫反応」によって、鼻水、鼻づまり、
くしゃみなどの症状が起こることをいいます。
花粉症の主な原因は、抗原抗体反応によるものです。
空気中を浮遊しているスギ・ヒノキ・イネの花粉などの
アレルゲン(抗原)が鼻粘膜に付着すると、体内に抗体が作られ、
肥満細胞という名の細胞とくっつきます。

その後、再びアレルゲンが侵入すると、肥満細胞からヒスタミンなどの
アレルギー誘発物質が放出され、ヒスタミン受容体(ヒスタミンを受ける鍵穴)と結合し、
鼻水、鼻づまり、くしゃみ等のアレルギー反応を起こします。

風邪と症状がよく似ているため、間違いやすい「花粉症」。
具体的な症状と花粉情報をチェックし、早めのケアを心がけましょう。

花粉症は年々増加していると言われていますが、
2008年に行われた全国的な鼻アレルギー(花粉症)の有病率調査では、
国内の約4割の人がアレルギー性鼻炎と答え、
花粉が原因の鼻アレルギーは3割にものぼることが分かりました。
そのなかでも、スギを原因とする花粉症は26.5%と、
1998年の調査結果に比べ10ポイントも増加し、約4人に1人が発症しています。
全国でも特に患者が多いと言われる東京都の調査では、
スギ花粉症の有病率は3割近くにのぼります。
また、30・40代に多かった花粉症が、近年では花粉の飛散量の増加とともに低年齢化が進み、
若いうちに発症する人が増えています。
10代でも約3人に1人が、10代以下も約15%近い人が
花粉症を発症していたことが分かりました。
2008年の調査から約10年近くたった現在ではさらに増加しているものと思われます。

日本では50種類もの原因花粉があり、スギやヒノキだけでなく、
シラカンバ、ブナ、ハンノキ、ケヤキ、コナラ、ブタクサ、ヨモギなど、
1年中、何かしらの花粉が飛んでいるので注意が必要です。
今まで大丈夫だった人も、突然、発症することもありますので、
「自分は大丈夫」と思わず、しっかり対策を立て予防していきましょう。

花粉症を発症する人は、遺伝的にアレルギー体質であることが
主な原因として言われていますが、それ以外に何か原因はあるのでしょうか?
まず、一般的にあげられるのが食生活の変化です。
なぜなら同じ地域に住んでいても、お年寄りには花粉症の有病率が少ないからです。
インスタント食品やスナック菓子などが、今とくらべてほとんどなかった時代、
昔からの和食にアレルギー体質になりにくい要素があるのかもしれません。
次に自律神経を乱す睡眠不足や不規則な生活、そしてストレスも原因と言われています。
自律神経が乱れると免疫機能がうまく働かないからです。
生活習慣を見直し、規則正しい生活を心がけることで花粉症が楽になるかもしれません。

また、花粉の飛散が多い地域では、花粉症の有病率も高い傾向にありますが、
排気ガスの影響も受けていると言われています。
花粉の飛散量が同じでも、排気ガスの多い地域の方が花粉症になる人が多いのだとか。
排気ガスのなかに含まれる微粒子と一緒に花粉を吸いこんでしまうと、
アレルギー反応が出やすくなると言われています。
また、アスファルトにも要注意です。
花粉が飛んでも土に吸収され、再び舞い上がることの少ない田舎と違い、
アスファルトは落ちた花粉が何度でも風に舞い上がり、空中を飛んでしまうので、
花粉を吸い込みやすくなると言われています。
そのため、大きな道路の近くや都会に住んでいる人は普段からマスクをするなど
特に注意が必要です。

発症していない人だけではなく、発症した人は症状を重くしないためにも、
外出時には、とにかく花粉に触れないことが大切です。
サングラスやメガネ、マスク、帽子、そしてツルツルとした花粉を落としやすい
服装を心がけましょう。
帰宅したら、玄関に入る前に花粉を払い、うがいや顔を洗う習慣をつけましょう。
それでもつらい鼻水やくしゃみにはアレジオンなどの市販薬を利用しましょう。